起業をするときの思わぬ障害として払込金保管証明書の発行手続きがあります。さあ会社を興すぞとなってお金を払い込む手続きを金融機関が簡単には受けてくれない、もしくは断るケースが多いのです。その実態と対策や現状について書いていきます。
現在、起業ブームといわれていますし、来年には会社法の改正でひょっとしたら起業ブームが加速するかもしれません。しかしながら多くの金融機関が簡単には会社設立のために必要な払込金保管証明書を発行してくれません。
地域にこれから根ざす起業家の出鼻をくじくこの対応はよろしくないことだと思い以前にも問題提起しました。(そのときのブログはこちら→ 設立登記の落とし穴① 設立登記の落とし穴② )
先日も税理士紹介の件で相談があったお客様で本社(事務所)と店舗が少し離れた所にあり、払込金保管証明書の発行を店舗近くの都市銀行で断られたため、本社近くの信用金庫で発行してもらったお客様がいました。
発行がとりあえずできたので一見問題なさそうですが、その信用金庫は店舗の近くに支店がありません。
したがって、売上の入出金は店舗近くで別口座を作り、融資等の相談事は本社近くの信用金庫でという対応をしばらくは余儀なくされることになりました。
店舗近くの信用金庫で払込金保管証明書を発行してもらえればいいのですが、店舗近くの信用金庫はお客様の本社周辺に支店がないため断られました。
このお客様、営業展開上店舗と違うところに本社を構える必要があったため証明書の発行をたらい回しにされてしまいました。また当面、既述の通り金融機関取引でいくつかの不都合を受けることになります。
もともと設立登記を請け負った人がきちんと聞き取りをせず、支店登記や金融機関のエリア等の確認等の根回しを怠ったため起きた問題だったのですが、最初に相談を受けた店舗近くの都市銀行がつれなく断ったことがこの問題の根を深くしてしまったと思います。
そんな現状を見越してかジャパンネット銀行が設立払込金保管証明書発行サービスを始めました。
また財産価格証明書の発行を税理士等に依頼すれば払込金保管証明書がなくても会社設立をすることができるという方法もあります。
上記の銀行・証明書を発行して会社設立をスムーズにしてくれる税理士のサービス等いずれもすばらしいことだとは思いますが、やはり金融機関(特に都市銀行)が手続きが面倒だからとか、収益に結びつかないからといってつれない対応をせずにもう少し親身になって対応してもらいたいと思います。
今は小さな零細企業でも将来は大きくなる可能性を秘めているのですから。
ちなみに私が勤めていた信用金庫はお金の払い込みの翌日に払込金保管証明書を発行してくれる起業家にやさしい数少ない金融機関のひとつですが、この姿勢はぜひとも維持してほしいものです。
もっとも新会社法の下では発起設立の場合、払込金保管証明が不要になり、残高証明等の対応でよくなり設立前でも払込金を使用できるようになるのでよかったと思います。
ここまでお読みいただきありがとうございます。