中小企業でも引き受けが可能になった取引信用保険は単に回収不能債権を補填するという以外に注目されているメリットがあります。本日はその辺りを書いていきます。
昨日のブログで述べた取引信用保険ですが、売掛債権が焦げ付いたときに返済不要の保険金を受け取ることができるという以外に中小企業が注目している大きな機能が2つあります。
まず取引先の与信管理が可能になったということです。
取引信用保険に加入する場合に保険会社はどんな売掛先でも引き受けるわけではなく、その対象先の信用状況を調査機関で照会して引き受けの可否を判断します。したがって、保険会社から「この会社については引き受けができません。」といわれたならば信用調査機関の評点が著しく低いということが分かるので、その先との取引の改善に取り組むことができ、貸し倒れリスクを低減できる効果があるのです。
そして、手形割引の枠の拡大交渉や金融機関の新たな融資手法として登場した「売掛債権担保融資」を受けやすくなるといったメリットもあります。
従来は割引できる上限に制約があった手形でも取引信用保険に加入していて万が一の時は補填されるということが分かれば金融機関に割引枠の拡大交渉もできるということです。
もっとも評価の低い先との取引を積極的に増やしなさいという意味ではなく、継続的取引においてリスクマネジメントを行っているのでその部分については資金繰りもあるので枠を増やしてくださいというスタンスで交渉する材料になりうるということです。
また取引信用保険を付保することで売掛債権を担保にしやすくなり、経済産業省でも取引信用保険の活動促進を盛り込んだ中間報告書をまとめています。
報告書はこちらを参照ください→新たな企業金融機能のあり方に対する検討小委員会
しかしながらこの取引信用保険、まだまだ売掛債権の焦げ付きリスクにさらされている中小企業には浸透しきっていないので私が信用金庫時代に担当していたお客様・業界を皮切りにアナウンスしていこうと思っています。
ここまでお読みいただきありがとうございます。