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金融機関独自の融資であるプロパー融資と預金の相殺を実施されるとなると、金融機関側にとっては収入源(金利収入)である貸金の減少とボリューム(預金)の減少が同時に実施されるということになるので、あの手この手で相殺を防止しようとします。
私も信用金庫勤務時代の10年ほど前はバブルも崩壊し非常に景気の悪い時期でしたので相殺の要望がとても多く防止するのに必死でした。
防止しないとノルマがさらに厳しくなり、支店や他の営業マンにも迷惑がかかります。(お客様のことを考えていないのがミソ)
ですので相殺の要望があった場合にはこんな手段で相殺の防止に努めていました。
1.新たな融資の提案をして相殺要望をうやむやにしました。
→保証協会やプロパー融資がまだ提供できる先の場合は相殺の防止ではなくこちらのメリットを強調して論点をすり替えて融資を実行して相殺の話が出ないようにもっていきました。
2.金利を引き下げる提案をし相殺の代案としました。
→現金収支ではなく金利の不満が大きい先の場合はこの提案でだいたいけりがつきました。
3.上司(係長・次長・時には支店長)に丸投げしました。
→自分だけの責任になるのはいやなのでこの相殺要望を上司に大げさに伝えたうえで上司の責任になるように立ち回りました。
4.ノルマに余裕があるので言われたとおりに応じる。
→この場合はお客様も我々もハッピーですが、年に一度あるかないかといった感じです。
上記の通りあの手この手でお客様の要望をかわすようにします。金融機関側はそれなりに経験・交渉術を持っているのでお客様が相殺のニーズを実現するのはなかなか容易ではないです。
ですが、そこは情熱と作戦です。私が過去やむを得ず相殺に応じざるを得なかったケース・今現場で実施してもらっている方法があります。それは・・・
1.まずは営業担当者に要求するが、すぐに応答がない場合は店内の融資役席に交渉します。
→営業マンもピンきりです。相殺に応じる応じないは別としても優秀な担当者はレスポンスが早いですが、上司に報告することもなく抱えてしまっている担当者も非常に多いです。
黙っていても埒が明きません。要望を出してから1週間してもなにも返事がないときは直接融資役席にアポイントをとった上で店に行きましょう。
以前のブログ(倒産する零細企業の傾向)でも触れましたが、普段営業担当との折衝を経理担当者・奥様が行っていたとしてもここでは社長が交渉してください。
2.相殺要望の文書を作成して記録に残るよう提出してください。
→文書は簡単でいいです。金利負担・現金収支が厳しいこと、現状の取引に照らして相殺して負担を減らすのが妥当であることなどを記載して提出してください。
結構、言った言わないで先延ばしにされたりうやむやになるケースが多いので期日等も指定して文書に残すといいと思います。
3.顧問税理士や経営コンサルタント等の支援を仰ぐのもいいと思います。
→先日もあるお客様にその旨を提案し顧問税理士事務所と提携しているコンサルタントを同行させて相殺を実施し月々100万円ほどの割賦金減額が実現しました。
ただし、税理士やコンサルタントと一緒にとなると金融機関側もかなり構えてくるのでくれぐれも穏便に、でも理路整然と進めてください。
当たり前の話ですが、この相殺要望を強力に要請し実施した後の金融機関の態度には要注意です。商売に一層の努力を注ぐのはもちろんですが担当者とのシコリが残らないよう以降の取引は行い、協力できることは協力してあげてください。
ここまでお読みいただきありがとうございます。