27日の金曜日に世田谷ものづくり学校で「雇用手続の実務」という題名でセミナーを行ないました。
その中でも盛り上がったのが解雇についてでした。
解雇権の濫用にあたらないかの目安になった判例についてはちょっとびっくりでした。
携帯番号ポータビリティの開始にあわせたかのように、私の事務所では携帯電話がつながりにくくなりました。
月内にまとめたかった大口の契約が携帯電話に出ることができなかったために来月に持ち越し、さすがにどうにかならないものかとサービスセンターに電話して応急措置(アンテナの設置)をしたらこの通りです・・・
グッドウィル会長折口雅博氏の言葉を借りれば、携帯電話のセンターピンは「どこでも通話ができること」だと思うのですが、携帯各社は料金の過当競争や不必要なサービスに躍起になっている感じがします。いつでも気持ちよく通話ができる環境について争ってほしいものです。
偶数月の第4金曜日に世田谷ものづくり学校で開催している創業支援セミナー、今回は「雇用と実務」という題名で人を採用するときの注意点などについて話されました。
講師は社会保険労務士の齋藤真澄先生・・・私の妻です。
当日は10数名の方が受講されましたが、急遽参加された70歳代の方がいろいろ質問してくれたおかげで、他の方々も積極的に質問され、とても盛況なセミナーとなりました。
中でも盛り上がったのは使用者が一方的に解雇する場合にについて話したときでした。
特に解雇権の濫用にあたるかあたらないか「客観的に合理的な理由があり社会通念上相当であるか」を示した判例については皆さま驚きで、私もびっくりでした。
以下はその判例の抜粋です。
<社会通念上解雇が相当か>
午前6時からの10分間のニュース担当の宿直のアナウンサーが2週間に2回寝過ごして番組に穴を空けたケースですが、判決では、就業規則の普通解雇事由に該当することを認めた上で、悪意・故意の不存在、ともに宿直をして先に起きてアナウンサーを起こすべき記者も寝過ごしたこと、本人の無事故暦等から解雇権の濫用を認め、解雇は無効とされました。(高知放送事件最高裁昭和52年1月31日判決)
「普通解雇事由がある場合においても、使用者は常に解雇し得るものでなく、当該具体的な事情の下において、解雇に処することが著しく不合理であり、社会通念上相当なものとして是認することができないときには、当該解雇の意思表示は、解雇権の濫用として無効になるというべきである」として、解雇事由があるだけではただちに解雇有効とは言えないという判断
午前6時からのニュースを2週間のうちに2回寝坊ですっぽかしたわけです。
テレビでどのように放送されていたのでしょうか?(最近見ないですが、しばらくお待ちくださいの画像だったのでしょうか?)
私からみたらそんなの就業規則にも解雇自由として該当するのだから当然クビでしょうと、1日8時間以上労働しているとしても、メインは視聴者に語りかけるこの時間なのだからそこに立て続けに穴を開けるのはそりゃクビでしょうと思うのですが、判例は解雇の無効でした。
またもう一つ零細企業にこれを当てはめたらきついだろうなという判例もあります。
<成績不良を理由とする解雇>
正規従業員を勤務成績・勤務態度の不良を理由として解雇する場合は、
①それが単なる成績不良ではなく、企業経営や企業運営に現に支障・損害を生じ、または重大な損害を生ずる恐れがあり、企業から排除しなければならない程度に至っていることを要すること。
②是正のため注意し反省を促したにもかかわらず改善されないなど、今後の改善の見込みもないことさらに配転や降格なども考慮して、解雇権の濫用の有無を判断すべきとしています。
(エース損害保険事件東京地裁平成13年8月10日決定)
もし従業員数名の零細企業でこれを厳格に適用したらその会社は倒産街道まっしぐらですね(笑)
他にも整理解雇の4要件というのがあり、
1) 会社の存続を図るため、人員整理が必要であること
2) 一時帰休、希望退職の募集等、解雇回避の努力をしたこと
3) 被解雇者選定に合理性があること
4) 労働者側に対する、十分な説明・協議がなされたこと
と全てやりつくしてどうにもならないときに初めて解雇が認められるのです。
零細企業においては人材確保が困難なだけでなく、不適切な従業員も簡単には切れないので大変ですね。
ここまでお読みいただきありがとうございます。
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