こんな倒産辛かった①


信用金庫時代、保険会社時代そして現在と数多くのお客様の倒産に遭遇しました。倒産に至る過程で私が余計なことを言ってしまったり、余計な手続きをしてしまったがために私も少し痛い目にあった経験がいくつかあります。金融機関・保険会社にお勤めの方などこのようなことをしないでくださいということで本日は保険会社勤務時代の痛い経験を書いていきます。

資金繰りが悪化している赤字法人のお客様に生命保険を提案する一つの手法として、貯蓄性の強い現在契約中の保険を解約させて掛け捨ての保障重視の保険に加入させるという手法があります。

解約で戻ってきたお金は資金繰りや金利の高い借り入れの返済に充当させるのです。

掛け捨て重視の保険に切り替えるので毎月の支出も軽減されます。

そんな提案を信用金庫時代から付き合いのある社長に提案しました。

この社長かなりの遊び好きで方々に借金をしながら遊びまくっていました。

また人がよすぎる部分があり、自身のキャパを上回る積立や保険に付き合っていました(私もその恩恵を受けた一人ですが・・・)

あまりに厳しくなったので、冒頭の手法を提案し、解約で戻ったお金は知人や消費者金融等の返済に充当するよう話しました。

社長も了解し保険の申込と医師の診査を終えて車に乗ったとき突然お客様が言いました。

社長「俺、逮捕されるかもしれないんだよね・・・」

私「えっ!」

こんなバカな話があるかと思っていたら、この社長本当にこの会話の2日後に逮捕されました。

業務上横領の容疑です。

敵対していた役員の告発で逮捕されました。

さらに困ったのが保険の顛末です。

申し込んだ保険は成立し保険証券が出来上がったのですが、当時勤めていた保険会社は保険証券を営業マンがお客様に手渡ししなければいけないのです。

手渡しして受け取り書に名前を書いてもらい印鑑を押してもらわなければいけないのです。

結局、拘留中のところを失礼して受け取り書にサインをしてもらい、その後従業員が一人残された社長の事務所に行って印鑑を押してもらいました。

さらに困ったのが、社長がいないときの経理・総務関係の応援をお願いされたことです。

当時私はCFPの試験直前で試験勉強に集中していた時期だったのですが、社長はともかく残された従業員(とてもいい人)からも2~3日でいいからと頼まれたのでやむなく引き受けました。

その後、社長は無罪で釈放されました。

しかし失われた信用はどうにもなりません。

結局、この社長私の提案で得た保険の解約の戻り金を手に夜逃げしてしまいました。

その後保険は申込金だけで失効してしまうし(保険は本来長期に続けるものなので短期で終われば終わるほどペナルティなどがあります)、その会社の事務所の大家からは「あなたが余計なことをするから・・・」と詰められるし、何をやっているんだか悲しくなってしまいました。

幸いCFPの試験には無事合格したのですが、もし不合格だったらこの社長を地の果てまで追っていたかもしれません(笑)

資金繰りの改善につながる提案だからといって、人を見てから提案しないといけませんね。

ここまでお読みいただきありがとうございます。

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