政府が働き方改革の一環で検討している「同一労働同一賃金」に
対する議論が活発になってきました。
政府、日銀が掲げる年2%の物価上昇率を達成するためには
国の主導で賃金を上昇させるしかないのでしょうか。
最低賃金の引き上げもそうですが、国主導の賃金上昇には違和感が
あります。
経済界からも警戒の声が上がっています。
人件費負担の増加や、不合理かどうかを明確に判断できる指針策定は
困難であるなどの懸念が示されています。
確かに非正規社員の待遇改善は必要なことだと思います。
しかし、生産性の向上を伴わない賃上げは、人件費負担が増えるだけで
企業の収益を圧迫するだけです。
この改革では、非正規社員の基本給や手当などの賃金に加えて
教育、研修についても待遇改善を促しています。
教育や研修で能力やスキルが身につけば、生産性の向上に寄与するので、
長期的にみれば企業にはプラスになると思います。
ただ、教育や研修も費用が発生するので、短期的には負担が増えます。
そこで活用したいのが、厚生労働省の「キャリアアップ助成金」です。
教育や研修の費用も助成されますし、非正規社員から正社員に転換すれば
1人当たり60万円(東京都は110万円)が支給されます。
非正規社員の待遇をここまで改善するのであれば、いっそのこと正社員に
してしまったほうが良いのではないかと思います。
ある程度の能力・スキルを求めたうえで、
「希望者は全員、正社員にしなければならない」
という法律を作ってしまうのはいかがでしょうか。
雇用情勢の改善で雇用保険の積立金は6兆円を超えています。
この積立金を活用して、「非正規社員の処遇改善」ではなく
「非正規社員から正規社員へ」の流れを作ってもらいたいものです。
そうすれば、政府が渇望する「社会保険料」も増えるのではないでしょうか。