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創業融資で最重要視されるのは事業計画書ではない
独立開業において事業計画書がとても大事なことはこのブログで何度かお伝えしてきました。独立開業時に必要となってくるものに創業融資がありますが、実は創業融資で最重要視されるのは事業計画書ではありません。
創業融資で自己資金が最重要視される背景
創業融資で最重要視されるのは「自己資金がどれだけあるか」でその次が「計画性・実現性のある事業計画書」になります。
2年・3年経過している会社や事業主が融資を申し込む場合は決算書や確定申告書および事業開始してからの資金の流れという実績があるので、その実績と流れを見れば「この内容ならばこれくらい貸しても返済できるな」とおおよそわかります。
ですが創業融資の場合はどれだけ精度の高そうな事業計画書があっても過去の実績がありません。もちろん独立開業する業種の経験は重要視されますが前職での実績はリセットされます。
自己資金をある程度計画的に準備して独立開業に臨む形で事業計画書を策定した方の申込みであれば「これだけ事業を始めるためにお金をためてきた人ならこれくらい貸しても大丈夫だな。事業計画書もしっかり作っているし」となります。
また創業融資においては創業する方(代表者)の個人の通帳の原本確認があります。そこで自己資金・資本金が本当に自分で用意したお金なのか確認するのです。
さらに毎月の公共料金や保険料等約定の引き落としがきちんとなされているか、ここはかなりしっかりチェックされます。たとえ1回でも約定の引き落としがなされていないとたとえ自己資金がそこそこあって、事業計画書がしっかり作成されていても融資の雲行きがとたんに怪しくなります。
過去に前職の営業実績も申し分なく、実現性の高いかなりしっかりした事業計画書を作成した起業家の融資申し込みの審査で、1年間に公共料金が2回約定の日に引き落としにならかったことで、日本政策金融公庫の担当者から「融資は厳しいかもしれない」と指摘され、最終的には減額という形で否決は免れたのですが当初見込んだ融資額を得ることができない事例がありました。
創業融資では創業に至るまでにプロセスを踏んだか、約束をきちんと守ることができているかという過去の履歴が、事業計画書という将来の不確実な予定よりも優先的に審査されます。
自己資金ゼロの方が少しでも早く独立開業するためにとるべき行動
起業相談でよくあるのが「自己資金は全くありません。でもすぐに起業したいです」という相談です。そんな相談に対しては大変失礼ながら「全力で」すぐの起業についてはやめるようお伝えしています。
どんなに初期投資がかからない事業でも起業した会社から給料をもらう形です。会社が何故倒産するかというと赤字だから倒産するのではなく「お金がなくなるから」倒産するのです。
あるデータによると1年で半分もの会社が倒産・廃業するというデータもあるようです。この中には相当な自己資金を用意しても倒産するケースがあります。
それでも独立開業したいということであれば、開業まで猛烈に働いて最低でも100万円は貯める(自己資金まったくゼロの方にはそのようにお伝えしています)、もしくは不退転の決意の独立開業に向けての事業計画書を資金援助が望めそうなかたにプレゼンして支援してもらうという方法をお伝えしています。
実際、有名な起業家が某大手運輸会社で1年間猛烈に働いて当時の有限会社設立のために300万円をためた話やあるIT起業家が身近な人に独立開業に向けた事業計画書をプレゼンして開業資金を援助してもらいそれをテコにして一気に上場させた話は有名です。
自己資金まったくゼロでの起業を完全否定するわけではありませんが、少なくとも間接金融(銀行や信用金庫、日本政策金融公庫)からの融資はかなり厳しいと考えてください。申し込みのための要件として自己資金はなくても申し込めるものもありますが、審査では自己資金がどれだけどんなプロセスで用意してきたかは細かく審査されると考えた方が良いと思います。
弊社では金融機関出身のファイナンシャルプランナー(CFP)の有資格者もおりますので、資金計画も含めた相談も承っています。お気軽にご相談ください。