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中小企業の決算書の長期借入金の内訳を見ていると銀行等金融機関の借り入れ以外にいくらか借り入れがあるケースをよく目にします。
代表者や役員からの借り入れです。
資金繰りが厳しい時で金融機関から借り入れができない時や借り入れしたくない時で個人の預金を会社に貸し付けたり、給料を取らなかったりでその金額が決算書に毎期累計で計上されます。
その積み重ねが相当な金額になり、もはやもらうにもらえなくなるケースが非常に多いです。
会社によっては数千万円から億を超える会社もありました。
この役員からの借入金の処理ですが、かつての商法改正時(平成8年3月の株式会社1000万円・有限会社300万円の最低資本金制度の期限時)は役員からの借入金を資本金に振り替えて最低資本金をクリアする会社がかなりの件数ありました。
ちなみに弊社もご多分に漏れず、個人のお金を増資に充てたわけでなく借入金を資本金に振り替えて有限会社から株式会社になりました(笑)
次回の増資の時は素敵に儲かって個人で普通に払えるよう、払いたくなるような内容の会社になるよう努力しております。
ところでこの役員借入金ですが、会社⇔役員でも当然貸付利子が発生します。
この貸付利子ですが、雑所得になるので他の所得と合算されて総合課税されることになります。
したがってそれなりの所得がある社長が利子を受け取ると最高50%もの課税を受けてしまうことになります。
この厄介な役員借入金の処理ですが、ひとつ素敵な提案があります。
それがタイトルの役員借入金を少人数私募債に振り替えて節税を図るという方法です。
ここで少人数私募債と増資(株式発行)の違いや税務上のメリットを述べますと・・・
株の配当は利益処分のため会社経費になりませんが、社債利息は全額経費扱いになります。
先ほど申し上げたとおり役員が受け取る利息は雑所得の総合課税のため最高で50%もの課税になるケースもありますが、社債利子は受け取る側では20%の源泉分離課税です。
また増資の場合資本金に移動があるため法人住民税の均等割りが増える可能性がありますが、社債の場合そのようなことはありません。
以上のような税務上のメリットがあります。
またペイオフ対策としてもほとんど利息がつかない預貯金ではなく自身の会社の社債権者となり利息を受け取ることで有利な運用ができるという考え方もできます。
多額に会社に貸し付けている社長でしたら少人数私募債にそっくり振り替えて、社債利息に相当する金額分だけ役員報酬を減額すれば所得税・住民税の節税を図ることもできます。
くれぐれも気をつけていただきたいことは有利だからといって社債利息を極端に高く設定したりすると否認される恐れもあるので、少人数私募債の発行時には顧問税理士などに相談してください。
ここで私が少人数私募債で参考にした本を紹介します。
中小企業のための社債徹底活用法―もう銀行には頼らない! 北村 義郎 PHP研究所 2002-09 |
他にも少人数私募債に関する本は多数出ているので読みやすい本を参考に検討されるといいと思います。
ここまでお読みいただきありがとうございます。