生損保保険料下げ弾力化の考察


 金融庁は生命・損害保険会社が販売している商品の保険料引き下げを来年早々にも弾力化する方針のようです。横並び意識の強い保険会社の競争意識を促す目的のようですが、保険代理店を経営している立場から思ったことなどを書いていきます。

保険業法では保険商品の販売や保険料改定については金融庁の認可が原則必要ですが、営業職員の削減など経営合理化を条件に一定の範囲内で保険料下げの認可を不要にするそうです。

保険商品はいわゆる付加保険料(販売経費が主)が損害保険料で平均3割・生命保険料では1~7割を占めていてその部分をてこ入れすることで保険料を引き下げる余地が大いにあるということです。

ただし無謀な引き下げに歯止めをかけるために各社に対し経営合理化策の提示と実施を求めるとのことです。

他にもキャンペーン的な形での期間限定の保険料割引も実現させる方向のようです。

以上が本日日本経済新聞に載っていた記事の要約です。一見加入者側から見ると素敵な話のようですが、私見になりますが懸念材料があります。

保険会社間の過当競争によってしばらくなかった保険会社の破綻がまた生じる懸念がまずひとつです。

今回の金融庁の指針がどこまで及ぶのかが分からないですが、過度に保険料競争が激化することで体力の低い保険会社の破綻が以前にも増して発生する可能性も秘めています。

また代理店という立場から言わせてもらえば、契約者へのサービス等の低下(入り口ではなく出口に際して)も懸念されます。

ちなみに一部の保険商品では保険会社間の過当競争により代理店の収益が悪化しております。

節税商品の解約返戻金競争のために代理店の2年目以降の手数料が4~5年前の5分の1~10分の1程度に減少しているのです。

通常保険契約から発生する手数料は保険会社にもよりますが、一般的に1年目が厚く、2年目以降は1年目の手数料の5分の1程度を5年間から10年間支払う形態になっています。

しかしながら解約返戻金を大きく発生させるために各保険会社は代理店・営業職員に支払う次年度手数料を大幅に低くして商品力をアップさせ、商品によっては(かなり主力となっている商品)2年目以降手数料が30分の1とか40分の1になっているものもあります。

一般的に代理店経営(とくに人件費以外のランニングコスト)・営業職員のステップ・自己啓発の元手は次年度手数料の帯で行っているケースが多いのでこれだけ下がると死活問題でもあります。

さらに保険料の格差・度重なる保険料の入れ替わりによる混乱はとても悩ましいものです。

もっともここで反対したからといってそれが覆ることはないので、それを逆手にブレイクスルーしなければと思っています。

弊社は月初の月曜日(明日)は毎月経営会議を行っていますが、銀行窓版の問題同様、明日はこの問題をどう乗り越えていくかが議題の一つになります。

また明後日は私、ある保険会社の代理店向けにただ保険料が安いということでなく、出口のケアがあっての保障提供であるといった趣旨のノウハウのセミナーを行いますが、市場の動向に負けずに皆ががんばりたくなるような話を少しでもできればと思っています。

ここまでお読みいただきありがとうございます。

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