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資金調達において苦労することの1つに申込に関する書類の作成があげられます。
事業計画書や資金繰り表の作成ですが、わかりやすくかつ返済できる(できなきゃ困りますが)資金繰り表の作成はなかなか大変です。
前職の信用金庫勤務時代はよく顧客から「面倒くさい」などと言われながら、取引状況によっては(こちらからお願いして借りてもらう場合など)こちらで鉛筆を舐めながら書類を作成したこともありました。
これから述べる少人数私募債の発行手続きでも若干面倒な部分はありますが、そこは引き受けてくださるありがたいお方のお顔を思い浮かべながら作成していただきたいと思います。
発行の手順ですが・・・
①取締役会で社債の発行を決めます。
かつては株主総会の特別決議が要件でしたが、現在は取締役会に出席した取締役の過半数の賛成で発行を決議することができるようになりました。多くの中小企業は組織がシンプルですが議事録の作成は支障をきたすことがないでしょうからきちんと作成しておきましょう。
②社債の募集要項を作成します。
金額の決定から利子・償還期限・募集時期などを文書化して勧誘する相手に渡します。不特定多数に公募するのではなく49名以内の縁故者に募集するのが少人数私募債です。背景がわからない第三者や短期的に転売しそうな人は社債権者にふさわしくないので気をつけてください。
③社債申込書を作成し応募者に渡します。
その際、会社がなぜ社債を発行するようになったのか、集まった資金はどのように使うのかなどを記載した「社債発行趣意書」や会社のパンフレット・数期分の決算概要などを添付し申し込みしやすいよう工夫するといいと思います。
④募集決定通知書を作成し申込者に送付します。
⑤応募者から申し込み証拠金の入金があったら社債申込証拠金預り証を発行します。
⑥社債台帳に記録します。
少人数私募債は発行手続きが簡単で社債管理会社も不要、社債券の発行も不要など中小企業にとって便利な制度ですが管理がおろそかにならないよう誰からも文句が出ないよう台帳はつけておいたほうがいいでしょう。
⑦毎年の利息支払い時に利札と引き換えに利息を支払います。
⑧満期償還時には元本返済もしくは借り換えの手続きとなります。
調達時の事業計画に基づいて全額償還できればいいですが、なかなかそうもいかないのが現実です。
予めの原資の確保策として積立預金をしておくとか、社債の発行に伴う信用力の増大による金融機関との取引改善で借入金が可能になればその借り入れを社債の償還にあてます。
社債権者との信頼関係においても借り換えとなるのは少々問題ですが、再度社債を発行するならば今後の事業展開にふさわしい形での新たな社債発行条件を考えることが必要です。
上記の記述を踏まえて書式を作るのは大変なので参考になるサイトを紹介します。
足立区中小企業支援課:少人数私募債ガイドブック
財団法人佐賀県地域産業支援センター:総合相談チームが作成したマニュアル(ページの下から3段目のダウンロード3.2MBをクリック)
いずれのサイトも発行手続きの流れの解説もあり、佐賀県のサイトについては擬似私募債(有限会社などでも発行できる社債)の手続きにも触れています。
とても優れているのでぜひとも参考にしていただければと思います。
いざ発行するとなれば、出資者がいてナンボではありますが3週間から1ヶ月で手続きは完了するでしょう。
ここまでお読みいただきありがとうございます。