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キャリア形成促進助成金とは
今回はキャリア形成促進助成金について書きたいと思います。前回のキャリアアップ助成金は非正規社員の方を教育して正社員化する取り組みに対しての助成でしたが、キャリア形成は非正規社員の方だけでなく、既存の正社員の方も対象になります。
キャリア形成促進助成金は大きく分けて2つのコースがあります。1つ目は訓練コースで、従業員のキャリア形成を効果的に促進するために、職業訓練などを段階的かつ体系的に実施する事業主に対して助成されます。2つ目は制度導入コースで、事業主が継続して人材育成に取り組むために、「教育訓練・職業能力評価制度」「キャリア・コンサルティング制度」「技能検定合格報奨金制度」のいづれかの人材育成制度を新たに導入し、その制度を従業員に適用(実施)した場合に一定額が助成されます。
キャリア形成促進助成金の受給額
職業訓練コースの中でもいくつかのコースがあります。①成長分野等人材育成コース②グローバル人材育成コース③中長期的キャリア形成コース④熟練技能育成・承継コース⑤若年人材育成コース⑥育休中・復職後等能力アップコース⑦認定実習併用職業訓練コース⑧中高年齢雇用型訓練⑨特定分野認定実習併用職業訓練(建設、製造、情報通信等)があります。
①~⑥までは〈経費助成〉として訓練に要した経費の2/3、〈賃金助成〉として受講者1人1時間当たり800円が支給されます。⑦~⑧はこれに加えて、OJTを実施した場合には1人1時間当たり600円が助成されます。
制度導入コースにもいくつかの種類があります。
教育訓練・職業能力評価制度助成・・・評価制度、教育訓練制度の導入(ジョブカードの作成が必要)
セルフキャリアドック制度導入助成・・・キャリアコンサルタントによるキャリアコンサルティングを実施
技能検定合格報奨金制度導入助成・・・社員が技能検定(127種)に合格+報奨金を支給する場合
教育訓練休暇等制度導入助成・・・教育訓練休暇の制度導入、実施 ・有給:1年間に5日以上または40時間以上 ・無給:1年間に10日以上または80時間以上
社内検定制度導入助成・・・社内検定制度を導入(試行試験を2回以上実施したうえで本試験)、実施した場合。
これらの制度を導入すると50万円の助成金が支給されます。
キャリア形成促進助成金の事例
〈事例〉Off-JTとして外部講師(コンサル1名あたり200,000円)に教育訓練をしてもらった。
〈対象〉既存社員(正社員及び非正規社員:35歳未満)
〈内容〉新規事業所オープンにつき従業員5名に研修を行った。
このようなケースの場合、もらえる助成金は
外部研修費用(Off-JT)5名×200,000円=1,000,000円
〈経費助成〉 1,000,000×2/3=666,000円
〈賃金助成〉 1日8時間×6日間×800円×5人=192,000円
【助成金額】 666,000円+192,000円=858,000円(経費カバー率85.8%)
中小企業にとって、社員の方の教育はなかなか難しいですよね。人手も足りないし、費用も負担になるので躊躇してしまうのではないでしょうか。でも、きちんとした訓練が受けられて能力がアップできたり、公平な評価制度があれば社員の方の士気も上がるでしょうし、優秀な人材が育つのであれば会社にとっても大きなメリットになると思います。しかも経費の85%以上がカバーされます。
優秀な人材を育て、事業を拡大させる計画のある会社は是非とも利用したい助成金です。