目次
独立開業時に事業計画書を書かなかった後悔
弊社に独立開業のために相談に訪れる方で「この方はきっとうまくいくな」もしくは資金調達・雇用助成金・応募採択型補助金・税理士紹介いずれのサポートでもうまくいく方に共通していることがあります。
それは「独立開業の段階で事業計画書を作成している」ということです。
事業計画書の中身・精度は問いません。
自分で書いた事業計画書を自分の言葉で伝えてくれた方の起業案件は無茶な事業計画でない限りほぼスムーズに事が進みます。
などと偉そうに書きましたが、私は独立起業時に事業計画書を書きませんでした。
私は平成14年に元々勤めていた外資系保険会社から複数の保険会社を取り扱う保険代理店として独立しました。
保有していたお客様をそのまま引き継いでの独立でしたので売上も最初からあり、営業スタイルもあまり変わらなかったので事業計画書などは作成しなかったのですが、このことをとても後悔しています。
今までは保険会社のインフラの中での営業活動でしたが、独立開業後は家賃を始めとしていろんなランニングコストもかかります。保険会社の担当者との折衝等も自分でやらなければなりません。
またいろんな保険会社を取り扱うので保険料や商品性の違いも分析し書面に残す必要がありました。
マーケットも再分析し、独身のマーケットを中心に展開するのか、夫婦の保険を中心にするのか、法人や富裕層に進出するのかを再考する必要もありました。
地域も都内のみなのか一都三県でいくのか、どれくらい稼ぎたいのか・・・などなど独立開業前もしくは独立開業直後に事業計画書を作成すべきだったととても後悔しています。
現在は経営計画書として毎期作成していますが、独立開業して何年も経過してから改めての作成だと日常業務の合間を縫っての作成になるため時間の確保が難しいこと、以前の失敗がトラウマになって踏み込んだ目標設定ができなかったりといろんなハードルができてしまいます。
でも独立開業前の「ピュアな状態」の時に事業計画書を思いのままに作成すれば独立開業後の事業展開そして成長が約束されるといっても過言ではないと考えます。
独立開業時に事業計画書を書いた後の効果
独立開業時に事業計画書を書く効果としては
1.以降の経営の振り返りに使える
2.書いたことは叶う
3.営業資料にも使える
4.補助金や融資申請に使える(コピペできる)
などがあります。
1.以降の経営の振り返りに使える
→一度作成し実践、そして実績と計画を対比し、また内容をブラッシュアップしていけばよりよい事業計画書になっていきます。
2.書いたことは叶う
→私が言える立場でもないのですが、「書いたことは叶う」と思うのです。
事業計画書ではないですが、サッカーの本田圭佑選手やテニスの錦織圭選手、ゴルフの石川遼選手などは卒業の作文などで当時からすると果てしないと思える目標を書いています。そしてそれが叶うもしくはかなり近い結果を残しています。
私も2年半前不本意な業績を残した次の期の経営計画書をかなり踏み込んで、正直妄想も含めて計画書を作成したところ、売り上げの構成は計画書とは大きく違いましたが、売上高はほぼ目標通り、利益は計画以上の実績を残すことができた経験がありました。
ピュアな状態の時に大きな目標を書くことはとても大事なことだと思います。
3.営業資料に使える
→せっかく作成した事業計画書です。自分の中で温めておくのではなく多くの人に見てもらう機会を作った方がいいです。
弊社で支援した2年前の創業補助金の採択者で事業が順調に進んでいる方は、独立開業時に作成した事業計画書もしくは創業補助金採択時の事業計画書をフル活用して事業展開し、すでに従業員も増え利益を相応に計上している会社もあります。
多くの人に見てもらい「ダメ出し」「アドバイス」をたくさんもらうことで事業の改善が図れます。
4.補助金や融資の申請書に活用できる
→独立開業当初の事業計画書で最もメリットがあるのはこの項目かもしれません。
補助金の応募書類や融資申請書類で要求する項目と独立開業当初の事業計画書で書くべき項目はほぼ同じです。(項目については次回のブログで書きたいと思います)
ですので一度しっかりとした事業計画書を作成しておけば、応募採択型の補助金を申請する際にも事業計画書をコピペしたうえでその補助金の採点上重要視する内容に加筆修正すればより精度の高い応募書類が比較的早期に出来上がることになります。創業融資の添付書類としても独立開業時の事業計画書は効果的です。
究極の独立開業時の事業計画書
独立開業時の事業計画書で私が「これが究極」と感じている事業計画書があります。
東京通信工業株式会社、のちのソニー株式会社の創業者井深大氏が作成した「設立趣意書」が究極の事業計画書だと思います。
単純にワードにコピペしても7ページほどありました。
戦後間もない時の設立であり、今のように「創業補助金」や日本政策金融公庫の無担保無保証人の創業融資制度などがあるわけでもありません。
でもそのピュアな想いが世界を席巻したソニーブランドの礎になっています。
独立開業時のとてもピュアな状態の時にその熱い想いを書面にすることをお勧めします。